英語幻想ビジネス Part 1
- 5月3日
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ここ数年で、英語コーチ、あるいは英語コーチングと豪語して人を魅了する新しいタイプのビジネスモデルがよく目につくようになったと思うのは私だけではないと思います。脳科学や心理学などの専門用語を巧みに散りばめ、まるでその分野を代表する研究者のように熱弁をふるまう彼らの姿は、一見、合理的で魅力的に映るかもしれません。しかし、『科学的アプローチ』を謳い文句に『科学的アプローチ』が何であるか分からない人たちを相手にしたビジネスモデルを私はあまり肯定的には受け取れません。 下に列挙した問題は、往々にしてそうした『科学的アプローチ』を謳い文句にしたビジネスモデルに散見される、特に研究者としての私の専門分野でもある言語習得と関係が深い英語コーチングに関して、私が個人的に感じる問題です。

1. 「科学的に正しい方法」といった過剰広告で市場獲得を狙う
我々研究者は、『今世間で信じられているある考え』について、『本当にそうなのかしら?』と思うから(それも強烈にそこに違和感を持つがゆえ)、必要であればデータをとり、論文を書くのだろうと思います。本来的には、科学とは「絶対の正しさ」を示すものではないと思います。むしろ、「暫定的な仮説」に疑いを持って刷新していく営みなはずです。これが正しいと豪語するのは、いささか消費者を馬鹿にしすぎているようにも思います。最も、外国語への触れ方は、十人十色で、またそうあるべきだろうと思います。言い換えれば、外国語習得の方法に『正しい』も『間違った』もないはずなのです。
2. 「最短で成果が出る方法」=『いいこと』という思い込み
外国語習得には時間がかかって当然なはずです。むしろ時間をかけ、言語を身体化させるプロセスが必要なことは自明です。しかし、その事実には触れずに、『できるだけ早く習得したいと思うあなたの目標を、私は叶えることができます。早い方がいいですよね』と言って寄り添うのは、あまり親切には思えません。『言語を学ぶとは、測定不能な領域に足を踏み入れることでもあるので、時間はかかる』と伝える方が余程温かいサポートに、私は思います。
3. そもそも英語コーチって何?
少なからず私は、『何も知らない学生や保護者の前に立って、少しばかり自分が外国語に詳しいからと言って、その道の専門家であると豪語する』あるいは、そうした雰囲気で『顧客獲得を狙う』人たち(教育者たち)がいることを知っています。何をもって専門家というのかは人それぞれですし、英語コーチの絶対条件を私は存じ上げません。しかし、彼らが本当に、ある学習者の外国語能力を短期間で向上させることができるスペシャリストであるとするのであれば、是非、研究結果を論文や学会発表などで共有していただきたいものです。しかし、そのような試みをほとんど耳にしないのは、彼らが『専門家』ではなく、あくまで「市場に適応した語り手」であることを示しているのかもしれません。
上述のような内容には、『そんなことを言うと商売にはならない』との批判もあるでしょう。だからこそ、この記事のタイトルは、『幻想ビジネス』なのです。 学習者の不安を救済する、ある種の救世主的な存在は、『神授業』と呼ばれるようですが、文字通り、それはもはや教育ではなく、宗教と呼ぶべきで、そこで起こることの全てが、考えることではなくて信じることによって成立してしまうわけです。 良い社会になるといいです。みんなが手を取り合って、助け合い、真実を語り合い、前進できる社会になるといいと思っています。

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